水イボ治療
水イボ(伝染性軟属腫)治療
お子様の水イボ治療は、「痛みの少ない治療方法」で対応しています。
伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)とは?
伝染性軟属腫ウイルス(MCV)の感染により生じます。
感染は接触感染により、皮膚に微小なキズがあったときMCVが体内に侵入して皮膚の角化細胞に感染を生じます。 MCVに感染した角化細胞は膨脹し、分裂速度が速まって、軟属腫小体と呼ばれる細胞の塊(水イボの芯の部分)を形成します。これが症状としてのイボとなります。 感染を生じてからイボが目に見える大きさに育つまでの潜伏期間が約1ヶ月間あります。
症状としては、主に小児の体幹や四肢に粟粒大~数mmまでの光沢のあるイボができて、徐々に数が増えてきます。 プールなどで肌の接触により感染しますので、最初は子供同士で触れ合う場所に水イボはできます。 その後は患児がイボを触った手で他の場所を引っ掻くなどして、皮膚の表面で感染は拡がって行きます。
放置するとどうなる?
皮膚の表面で感染が拡がって、徐々にイボの数は増え、ひとつひとつも大きくなってきますが、やがて体にウイルスに対する免疫が成立すると自然に治癒します。 通常は半年~1年で自然に治ってしまいますので(患児の95%は1年以内に自然治癒)、特に治療をしないで様子を見ても良い病気です。
しかし、免疫が成立するまでの間はイボが増加し続けますので、施設によっては患児がプールに入ることを禁止されてしまう場合があります。 また、肌の弱いお子さん(特にアトピ―性皮膚炎のある子供)の場合、極端にたくさんの水イボができて難治化する場合もあります。 さらに、水イボに痒みを生じ、周辺の皮膚が湿疹化することもあります。
このように様々な問題を生じる時には、必要に応じて治療を行います。
水イボが治るまでプールは禁止?
水イボは肌と肌の接触や、ウイルスの付着したタオルなどを介して感染しますが、感染力はけっして強くはありません。 ましてや、プールの水で感染することは考えられません。 したがって、水イボができている部位を他の児童ができるだけ触らないことや、タオルを共用しないことに注意をすれば、原則としてプールを禁止する必要はありません。 ビート板が感染源として疑われるケースもありますが、患児が使用後に良く洗えば問題はありません。
しかし、まだ保育園や幼稚園、スイミングスクールなどへの啓蒙活動が十分でないために水イボのためにプールが禁止されてしまうことが現実としてあります。 そのような場合にも、水イボが治癒するのを待っていると半年以上もプールに入れなくなってしまいますので、治療を受けながらプールに入ることは問題ないでしょう。
水イボの治療法
ピンセットによる軟属腫摘除(保険適用)
専用のピンセットで水イボをひとつひとつ摘み取る方法です。 水イボを取ることに関しては確実な方法ですが、痛みを伴うため、小さなお子様の場合は治療1時間ほど前に局所麻酔薬の貼り薬を貼ることで治療中の痛みは和らぎます。
水イボ周囲の湿疹の治療
水イボの周囲が湿疹化した場合には、保湿外用剤(プロペトなど)や非ステロイド系抗炎症剤(フェナゾールなど)を使用します。 痒みが強いと、引っ掻くことで皮膚が傷つき、水イボが増え、さらに痒みも増すという悪循環を生じてしまうので、かゆみ止めの飲み薬を処方することもあります。 ステロイドを含有した外用剤は、水イボが増えてしまう可能性がありますので、できるだけ使用しない方が良いでしょう。
日常生活での注意事項
感染防止
水イボの感染力は弱いのですが、家庭内では兄弟間で高率に感染を生じます。
兄弟間での感染防止のためには、タオルを共用しないことや、別々に入浴するなどの注意が必要ですが、兄弟でふざけ合ったりしているのを禁止することはできませんので、完全に感染を防止することは困難です。
水イボを引っ掻いた手で他の場所を触るとイボが増えてしまいますので、患児には水イボがうつる病気であることをよく説明し、イボを触らないように指導して下さい。
スキンケア
乾燥肌のお子さんやアトピ―性皮膚炎のお子さんは水イボの感染を生じやすいので、肌が乾燥しないように保湿のスキンケアが重要です。
乾燥した肌は傷など無いように見えても、皮膚のバリヤー機能が低下しています。
スキンケアを疎かにすると、感染が拡大して極端に水イボがたくさんできたり、難治化してしまうことがあります。
乾燥肌の部分には普段から保湿効果のあるクリームや乳液でお手入れをしましょう。
もう一つスキンケアで重要なことは、肌の清潔を保つことです。
不潔な手で水イボを引っ掻いてしまうと、細菌感染を生じてイボの部分が赤く腫れてしまうことがあります。